結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「いや、全然変わってないし」

黒縁スクエアの眼鏡をかけてみせる矢崎くんに、速攻でツッコむ。

「てか、いつもそれだから、入社してからずっと同じ眼鏡なんだと思ってたよ」

「まさかそんなわけないだろ」

……ですよねー。
六年もあれば、視力だって変わるだろうし。

「何回か変えたけど、誰も気づかないんだよな」

と、彼がかけたのは、またしても似たデザインの黒縁スクエアだった。

「そりゃ気づかないよ。
予備だって言われても、あれ? 私が眼鏡を壊したのは幻? とか思ったもん」

強制的に彼の顔から眼鏡を奪い、別の眼鏡を渡す。

「だって選ぶときに自分の顔、よく見えないしさ。
無難なのになりがちなんだよな」

眼鏡をかけた姿を携帯で撮影し、自分の眼鏡をかけた彼に見せた。
メタルスクエアの眼鏡は彼を知的に見せ、はっきりいって格好いい。

「誰かと選びに行けばいいし、こうやればひとりでも確認できるでしょ」

「こんな方法があるのは知らなかったな。
……けっこういい感じ?」

同意だと、うんうんと頷く。
でも、まだかけさせてみたい眼鏡がたくさんあるので、新しい眼鏡を渡した。

「それに誰かとって、一緒に眼鏡を選ぶようなヤツなんていないし」

「え、矢崎くんってもしかして、友達いない?」

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