結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「次期社長の嫁が、殺人犯の娘とかヤバいよなぁ。
あ、わるい。
殺人未遂犯かぁ」

ニタニタと笑う彼は、まったく悪いなんて思っていない。
それに私も、ショックが大きすぎてなにも反応できなかった。

「……わた、し、は」

「サンキューな、いいネタを提供してくれて」

最初から私が、紘希の足枷になるとわかっていた。
だからこそ結婚を躊躇ったし、紘希の将来が決まったら別れようと決めていた。
なのにこの頃の私は、このまま誰にも知られず、幸せな結婚生活が続けられるんじゃないかとか期待していた。
とんだバカで、笑いたくなる。

「まあ、アンタ次第じゃ、黙っていてやってもいいけど?」

醜く正俊の顔が歪むのを、怯えて見ていた。



幸い、なのか今日は私のほうが帰るのが早かった。
紘希のいない家で、大急ぎで荷物をまとめてしまう。

「どう、しよう、かな」

「くぅーん」

私の様子がおかしいと察しているのか、イブキが心配そうに手を舐めた。

「ごめんね、イブキ。
ママはいなくなるけど、パパをよろしくね」

「くぅーん」

また、イブキが淋しそうに鳴く。
それに後ろ髪を引かれそうになったが、私はここを出ていくと決めたのだ。

正俊が口止めに要求したのは、お金と私の身体だった。
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