結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
予想どおりすぎて反吐が出る。
それに、それで本当に彼ら親子が黙っていてくれるのなら、そうしてもいい。
しかしそれでなおかつ、アイツら親子は紘希も脅すのだ。
きっと私たちは気づかないと思っているんだろうが、そんなのすぐにわかるに決まっている。

私が要求を呑まなければ、鏑木親子が私は殺人未遂犯の娘だと会社で声高に言いふらすのもわかっている。

――でもそのとき、私が紘希と別れていれば?

紘希くらい頭が回れば、いくらでも言い逃れができるはずだ。
だから私は当初の計画どおり、紘希の元から去ろうと決めていた。

「でも、迷っちゃうんだよ……」

意見なんて言ってくれないのはわかっていながら、イブキに尋ねる。
ぐずぐずしているうちに、紘希から今から帰ると連絡が入った。
早くここを出なければ、紘希に理由を話さなければいけなくなる。
それに結婚直後にあんなに離婚を拒否してきた彼だ、承知してくれないかもしれない。
……状況が変わった今となっては、わからないが。
紘希が帰ってくる前に出ていかなければいけないとわかっているのに、最後に彼の顔を見たいと思っている自分もいる。

「どーしよーかねー」

「くーん?」

私が首を傾げるのと一緒に、抱き上げたイブキが首を傾げた。

「イブキは、どう思う?」

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