結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
生地の美しさを生かすために、装飾はほとんどない。
代わりに、ウェストについたリボンから伸びる垂れをたっぷりと取り、綺麗なドレープを描くようにしてもらった。
トレーンも長いのでその分重いが、今日の私を美しく見せるためなんだから、それくらい我慢できる。
ちなみに紘希は、私にあわせてクラシカルな黒タキシード姿だ。

「美しすぎて、またプロポーズしたくなる」

人目があるというのに紘希は、私に口付けしてきた。

「……人が見てるところでキス禁止って、前に言わなかったっけ?」

上目でジトッと彼を軽く睨む。

「そうだっけ?」

しかし彼には効いてなくて、華麗にすっとぼけてくる。
さらに。

「純華がすぐにキスしたくなる、可愛い顔してるからいけないんだぞ」

抗議した端からまた、私にキスしてきた。

「ちょっとゲスト、迎えに行ってくるなー」

準備が終わり、ひらひらと手を振りながら紘希は控え室を出ていった。

「ゲスト……?」

会長でも迎えに行ったのかな、なんて思っていたものの。

「すーみか」

戻ってきた紘希に声をかけられ、そちらを見る。

「え……」

そこに立っている人を見て、みるみる涙が溢れてきた

「おとう、さん……?」

なんで、父がここに?
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