結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
もう、出所しているのは知っていた。
しかし父は私たちの元に帰ってきてくれないどころか、新しい居場所すら教えてくれなかった。
私たちを守るためだって、わかっている。
でも、それが酷く淋しかった。

「や、やあ。
純華。
ひさしぶり」

気まずいのか、後ろ頭を掻きながら父の目はあちこちを向き、視線は定まらない。

「ひさしぶりって、今までどうして……」

父へと伸ばした私の手は、ふるふると細かく震えていた。
もしかして幻かと思ったが父の腕は掴め、確かに彼はそこにいた。

「あー、えっと。
うん。
元気には、やってる」

へらっと父が情けなく笑った瞬間、感情が振り切れた。

「心配、してたんだよ!?
どうして連絡、くれなかったの!」

父の胸を叩き、感情をぶつける。
せっかくしてもらったメイクが崩れるなんてかまわずに、泣きじゃくった。

「あー、……ごめん」

申し訳なさそうに父が目を伏せる。
それでもう、なにも言えなくなった。

「でも、どうしてお父さんがここに?」

「その。
彼が」

父の目がちらっと、紘希へと向く。

「純華、口には出さなかったけど、お父さんに花嫁姿を見てほしいって思ってただろ?
だから探してきた」

照れくさそうに彼が、人差し指で頬を掻く。
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