結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「えっと……。
その眼鏡、あってる?」

もうそれ以外に私が可愛く見える要素なんて考えつかない。

「あってるが?
一週間前に新調したばかりだし。
てか純華、気づいてくれないんだもんなー」

不服そうに彼が唇を尖らせる。

「……ごめん」

なんとなく謝ったが、これは私が悪いのか?
前と同じ黒縁スクエアの眼鏡だから、どこが変わったのかわからないんだけれど。

「純華は笑うと可愛いよ。
俺はその笑顔に惚れたんだ。
きっと純華は、覚えてないだろうけど」

「はぁ」

矢崎くんは朝食を食べてしまい、丁寧に手をあわせた。
そういうところ、育ちなのかな。

「そんなわけで俺は絶対に純華と離婚しない。
純華が俺を嫌いだというのなら話は別だが」

そう言われて勝機が見えた気がした。

「私は矢崎くんがきら……」

速攻で彼を拒絶する言葉を口にする。
しかし、最後まで言い切らせないように彼の唇が私の唇を塞ぐ。
唇が離れ、テーブルに身を乗り出している彼を上目で睨んだ。

「……嫌いだよ」

これはさっきと違い、心からの気持ちだ。

「嘘だね」

椅子に座り直し、矢崎くんが私から視線を逸らして麦茶を飲む。

「嫌だったらもっと嫌そうな顔するし、平手の一発くらい喰らってるはずだ」

「うっ」

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