せっかく侍女になったのに、奉公先が元婚約者(執着系次期公爵)ってどういうことですか2 ~断罪ルートを全力回避したい私の溺愛事情~
「クラウス様が戻ってこないので学園に行ったら、ばったり会ったんです」
「それで?」
自分はマリー様となにをしたか言わないくせに、どうして私はこんなに問い詰められなくてはならないのか。不満に感じたが、言わないと変に誤解をされそうだし、クラウス様のことだから、言うまで解放してくれないだろう。
「マリー様にギフトのことがバレて、コンラート様にも伝わっていたようなので、本を直してあげました。そのお礼にお菓子をごちそうになりました。それだけです」
私は正直にあったことをすべて話す。しかし、クラウス様の表情は険しくなるばかりで、全然納得いかないという感じだ。
「ギフトがバレたことに関しては事情があるとしても――ふたりでお茶をしたのは気に入らないな」
「あくまでお礼として、ですよ」
「そう思ってるのはユリアーナだけで、コンラートにはべつの思惑があったかもしれないじゃないか」
それはクラウス様の考えすぎだ。ギフトのことがあったから、コンラート様は私に頼み事をしたにすぎない。それ以外で、わざわざ私とお茶したいなんて思うはずもない。
「コンラートとはなんの話をしたんだ?」
「……どうしてそこまで細かく言わなくてはならないのですか。普通の世間話ですよ」
自分はマリー様とふたりきりで出かけておいて、私のことをすべて知りたがるのが、なんだか癇に障った。クラウス様がマリー様と出かけるのなんて、クラウス様の自由だってことはわかっている。なにも悪くない。それでも、ムッとしてしまったのだ。
「もういい。よくわかった。ユリアーナは俺の目がないと……平気でコンラートとふたりきりになるんだって。……悪い侍女だな、君は」
「クラウス様――きゃっ!」
反発する私にしびれを切らしたのか、クラウス様は私の腕を強く引くと、そのまま近くにあったベッドへと押し倒した。
身体を起こすより前に、クラウス様が覆いかぶさって来て、顔の横に手を置かれる。
――に、逃げられない。
急に、変な意地を張ってしまったことを後悔する。しかし、時すでに遅しとはこういうことである。
「あの、クラウス様……なにを……」
怒りを含んだ冷めた顔で、かつ無言で私を見下ろすクラウス様に、私はしどろもどろになりながら言う。
すると、クラウス様は私の首元に顔を埋めてきた。
「ちょっ、クラウス様!?」
「もう一度、君に追跡魔法をかける。そうでもしておかないと、嫉妬でおかしくなりそうだ」
追跡魔法って……以前、私がシュトランツから出て行くのだと勘違いしたクラウス様が、私に隠れて勝手にかけた魔法――。
その方法は、追跡したい相手に傷をつけること。そしてその傷が消えるまで、追跡魔法をかけられた側は、かけた相手に居場所を知られることになる。
クラウス様はその方法のひとつとして、私にキスマークをつけた。つまり、今回も同じように……。
「だ、だめです! そんなところにつけたら……っ!」
首なんて目立つところにつけられたら、明日からの生活が非常に困る。首の詰まった服だって、今回は一着しか持ってきていない。ボタンをいちばん上まで閉めても、首の上のほうにつけられたりしたら完全にアウトだ。
キスマークなんてつけて仕事をしていたら、アトリア学園の侍女たちにどんな目で見られるか……。
『いやだわ、ユリアーナって、主人の夜伽相手も兼ねているのかしら』
『もしかしたら、外でこっそり遊んでいるのかもしれないわ』
『シュトランツ――いや、プルムスの侍女って、なんてはしたないの!』
頭の中に、侍女たちにそうやって噂されている図が浮かんでゾッとする。
そうこう考えているうちに、首元に柔らかく生暖かい感触がした。……こ、これは、クラウス様の唇……!
「それで?」
自分はマリー様となにをしたか言わないくせに、どうして私はこんなに問い詰められなくてはならないのか。不満に感じたが、言わないと変に誤解をされそうだし、クラウス様のことだから、言うまで解放してくれないだろう。
「マリー様にギフトのことがバレて、コンラート様にも伝わっていたようなので、本を直してあげました。そのお礼にお菓子をごちそうになりました。それだけです」
私は正直にあったことをすべて話す。しかし、クラウス様の表情は険しくなるばかりで、全然納得いかないという感じだ。
「ギフトがバレたことに関しては事情があるとしても――ふたりでお茶をしたのは気に入らないな」
「あくまでお礼として、ですよ」
「そう思ってるのはユリアーナだけで、コンラートにはべつの思惑があったかもしれないじゃないか」
それはクラウス様の考えすぎだ。ギフトのことがあったから、コンラート様は私に頼み事をしたにすぎない。それ以外で、わざわざ私とお茶したいなんて思うはずもない。
「コンラートとはなんの話をしたんだ?」
「……どうしてそこまで細かく言わなくてはならないのですか。普通の世間話ですよ」
自分はマリー様とふたりきりで出かけておいて、私のことをすべて知りたがるのが、なんだか癇に障った。クラウス様がマリー様と出かけるのなんて、クラウス様の自由だってことはわかっている。なにも悪くない。それでも、ムッとしてしまったのだ。
「もういい。よくわかった。ユリアーナは俺の目がないと……平気でコンラートとふたりきりになるんだって。……悪い侍女だな、君は」
「クラウス様――きゃっ!」
反発する私にしびれを切らしたのか、クラウス様は私の腕を強く引くと、そのまま近くにあったベッドへと押し倒した。
身体を起こすより前に、クラウス様が覆いかぶさって来て、顔の横に手を置かれる。
――に、逃げられない。
急に、変な意地を張ってしまったことを後悔する。しかし、時すでに遅しとはこういうことである。
「あの、クラウス様……なにを……」
怒りを含んだ冷めた顔で、かつ無言で私を見下ろすクラウス様に、私はしどろもどろになりながら言う。
すると、クラウス様は私の首元に顔を埋めてきた。
「ちょっ、クラウス様!?」
「もう一度、君に追跡魔法をかける。そうでもしておかないと、嫉妬でおかしくなりそうだ」
追跡魔法って……以前、私がシュトランツから出て行くのだと勘違いしたクラウス様が、私に隠れて勝手にかけた魔法――。
その方法は、追跡したい相手に傷をつけること。そしてその傷が消えるまで、追跡魔法をかけられた側は、かけた相手に居場所を知られることになる。
クラウス様はその方法のひとつとして、私にキスマークをつけた。つまり、今回も同じように……。
「だ、だめです! そんなところにつけたら……っ!」
首なんて目立つところにつけられたら、明日からの生活が非常に困る。首の詰まった服だって、今回は一着しか持ってきていない。ボタンをいちばん上まで閉めても、首の上のほうにつけられたりしたら完全にアウトだ。
キスマークなんてつけて仕事をしていたら、アトリア学園の侍女たちにどんな目で見られるか……。
『いやだわ、ユリアーナって、主人の夜伽相手も兼ねているのかしら』
『もしかしたら、外でこっそり遊んでいるのかもしれないわ』
『シュトランツ――いや、プルムスの侍女って、なんてはしたないの!』
頭の中に、侍女たちにそうやって噂されている図が浮かんでゾッとする。
そうこう考えているうちに、首元に柔らかく生暖かい感触がした。……こ、これは、クラウス様の唇……!