初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
イグナーツが驚いて顔をあげた。その頬は真っ赤に染まっていた。けして、お酒を飲んで酔っ払っている顔ではない。
「い、いいのか……?」
「はい。それで旦那様が救われるのであれば。人助けのようなものなのですよね」
「そ、そうなのだが……」
オネルヴァを握りしめている手にも力が込められる。だから、オネルヴァも同じようにきゅっと強く握る。
「わたくしたちは、家族ですから……」
「それは、そうだが……」
イグナーツは、先ほどから躊躇いを見せている。自ら言葉を口にしたくせに、オネルヴァがそれを受け入れた途端、弱気になっているのだ。
彼女は静かに目を閉じた。少しだけ唇を突き出してみる。
触れ合っている手がぴくっと反応した。彼はやんわりと手を解く。
「本当に……いいのか?」
彼女は目を瞑ったまま頷いた。
衣擦れの音がする。彼が、身体を起こしているのだろう。
イグナーツの指が、そっと頬に触れた。ドキリと胸が高鳴った。目を閉じている分、これからどのタイミングで何が起こるのかが全くわからない。かといって、今から目を開けて目の前に彼の顔があっても困る。結局、目を閉じたまま、唇に何かが触れるのを待っていた。
彼の吐息を近くで感じた。熱が顔に近づいてくる。
「……んっ」
カサリと乾いた唇が触れた。がさがさして、ささくれ立っているような感触がある。
「い、いいのか……?」
「はい。それで旦那様が救われるのであれば。人助けのようなものなのですよね」
「そ、そうなのだが……」
オネルヴァを握りしめている手にも力が込められる。だから、オネルヴァも同じようにきゅっと強く握る。
「わたくしたちは、家族ですから……」
「それは、そうだが……」
イグナーツは、先ほどから躊躇いを見せている。自ら言葉を口にしたくせに、オネルヴァがそれを受け入れた途端、弱気になっているのだ。
彼女は静かに目を閉じた。少しだけ唇を突き出してみる。
触れ合っている手がぴくっと反応した。彼はやんわりと手を解く。
「本当に……いいのか?」
彼女は目を瞑ったまま頷いた。
衣擦れの音がする。彼が、身体を起こしているのだろう。
イグナーツの指が、そっと頬に触れた。ドキリと胸が高鳴った。目を閉じている分、これからどのタイミングで何が起こるのかが全くわからない。かといって、今から目を開けて目の前に彼の顔があっても困る。結局、目を閉じたまま、唇に何かが触れるのを待っていた。
彼の吐息を近くで感じた。熱が顔に近づいてくる。
「……んっ」
カサリと乾いた唇が触れた。がさがさして、ささくれ立っているような感触がある。