初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「はい。旦那様の魔力が、まだ安定していないのですね」
違う、と言いたかったが、その言葉を吞み込んだ。彼女に振り回されているのが悔しい。
「今も、お側にいたほうがよろしいでしょうか?」
即答できなかった。
いて欲しいし、いて欲しくない。
「いや……先にいって休んでいなさい……。今日はこのような時間にまで付き合ってくれて、ありがとう……」
彼女の手首を解放した。
オネルヴァは蕩けるような笑みを浮かべて、頭を下げた。
部屋を出ていくまでの一連の動作を、目で追ってしまう。
扉がしっかりと閉じられてから、イグナーツは深く息を吐いた。
なぜに、二人で寝たいなどと口走ってしまったのか。
心のどこかに罪悪感すら芽生えている。
イグナーツがこの時間に食べるのは、野菜や肉を柔らかく煮込んだスープである。時間も遅く、年も年であるため、食べ物によっては次の日に影響も出る。だからといって食べないでいると、寝台に潜り込んで休もうとすると、一気に空腹を感じる。
そのような中でちょうどよく食べられるのが、このスープなのだ。
薄い味付けは素材の味を生かすためと、イグナーツの身体を考えてのことだろう。
だが今は、何も味を感じなかった。ただ紙を食べているような感覚にとらわれる。
それでも義務的に手を動かし、スープを腹の中へとおさめていった。
違う、と言いたかったが、その言葉を吞み込んだ。彼女に振り回されているのが悔しい。
「今も、お側にいたほうがよろしいでしょうか?」
即答できなかった。
いて欲しいし、いて欲しくない。
「いや……先にいって休んでいなさい……。今日はこのような時間にまで付き合ってくれて、ありがとう……」
彼女の手首を解放した。
オネルヴァは蕩けるような笑みを浮かべて、頭を下げた。
部屋を出ていくまでの一連の動作を、目で追ってしまう。
扉がしっかりと閉じられてから、イグナーツは深く息を吐いた。
なぜに、二人で寝たいなどと口走ってしまったのか。
心のどこかに罪悪感すら芽生えている。
イグナーツがこの時間に食べるのは、野菜や肉を柔らかく煮込んだスープである。時間も遅く、年も年であるため、食べ物によっては次の日に影響も出る。だからといって食べないでいると、寝台に潜り込んで休もうとすると、一気に空腹を感じる。
そのような中でちょうどよく食べられるのが、このスープなのだ。
薄い味付けは素材の味を生かすためと、イグナーツの身体を考えてのことだろう。
だが今は、何も味を感じなかった。ただ紙を食べているような感覚にとらわれる。
それでも義務的に手を動かし、スープを腹の中へとおさめていった。