初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「まあ。正式には後日、陛下を通して連絡があるが。そういうつもりでいて欲しい」
「承知しました。では、旦那様が不在の間に届いていた釣書は、不要になったということでよろしいですね?」
「そうだ」
 人が不在の間に何をやっているのかと怒鳴りたいところであったが、ぐっと耐えた。
「それから。エルシーには俺から話す」
「そうですね。エルシーお嬢様の母親となるべき方ですからね。ところで、幻の王女様は、おいくつくらいの方なのでしょう? 私の記憶するところでは、二十歳前後であると思っているのですが」
 幻の王女とは、パトリックも上手いことを言う。第二王女として生を受けたが、その存在を長年隠されてきた王女。となれば、幻と表現されてもおかしくはない。
「二十二歳だそうだ」
「ふむ。旦那様が四十一歳。王女様が二十二歳。まるで、親子ですね。そこにエルシーお嬢様が入れば、母娘とじじい……」
 痛いところを突かれた。
 イグナーツは、彼女との年齢差も気になっていた。
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