初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
結果、エルシーから父親を奪ってしまった。
いや、エルシーだけではない。彼らにも待っていた家族がいたはずだ。その家族から大事な人を奪ってしまったのだ。
「それは……旦那様のせいではありません。助けられた方々もたくさんいたはずです。旦那様があのとき別の判断をされていたら、もしかしたら今よりももっと状況は悪くなっていたかもしれない。失った命が無駄だなんて、そのようなことはありません。それでは、失った者たちの存在を否定することになりませんか?」
彼女が、感情的に声を荒げるのは初めてのことだ。
「そうやって、あのとき、あのときと考えると……後悔しか……。だから、わたくしはずっと……生まれてこなければ、よかったのだと……そう……思って……」
イグナーツは彼女の額を胸元に抱き寄せた。イグナーツにとっても辛い過去があるならば、彼女にだって同じように思い出したくもない過去があるはずだ。
「辛いことを思い出させて悪かった。俺の弟なら、間違いなくエルシーの幸せを願っていると思ったんだ。だから彼女を引き取り、彼女だけでも幸せにしてやりたいと思った」
「エルシーの幸せを願うのであれば、旦那様も幸せになるべきだと思います」
いや、エルシーだけではない。彼らにも待っていた家族がいたはずだ。その家族から大事な人を奪ってしまったのだ。
「それは……旦那様のせいではありません。助けられた方々もたくさんいたはずです。旦那様があのとき別の判断をされていたら、もしかしたら今よりももっと状況は悪くなっていたかもしれない。失った命が無駄だなんて、そのようなことはありません。それでは、失った者たちの存在を否定することになりませんか?」
彼女が、感情的に声を荒げるのは初めてのことだ。
「そうやって、あのとき、あのときと考えると……後悔しか……。だから、わたくしはずっと……生まれてこなければ、よかったのだと……そう……思って……」
イグナーツは彼女の額を胸元に抱き寄せた。イグナーツにとっても辛い過去があるならば、彼女にだって同じように思い出したくもない過去があるはずだ。
「辛いことを思い出させて悪かった。俺の弟なら、間違いなくエルシーの幸せを願っていると思ったんだ。だから彼女を引き取り、彼女だけでも幸せにしてやりたいと思った」
「エルシーの幸せを願うのであれば、旦那様も幸せになるべきだと思います」