初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
 すぐさま、ゼセール王はラハルン王国を訪れ、ゼセール王国の力によってシステラ族を制圧することを誓う。
 もしかしたら、システラ族はゼセール王国とラハルン王国を争わせたかったのかもしれない。だが、そうならなかったのはラハルン王が冷静だったからだ。彼はシステラ族の狙いに気が付いていた。だから、ゼセール王の謝罪を受け入れると共に、すぐさま亡くなった者を手厚く葬り、家族にも心から謝罪をして、賠償金を支払った。
 ゼセール王国軍は、四軍を動かした。最終的にイグナーツ率いる北軍とレジナルドの西軍の共同作戦によってシステラ族を降伏させたが、それでも犠牲となった者の数は多い。
 システラ族を少数民族と侮っていた点もある。彼らはいつの間にか国内の各地へと散らばっており、魔法を使ってその地に血を流した。争いある場所に軍が駆けつけ、軍の統率も分散されていく。それも内戦が長引いた原因でもあった。
「システラ族の一部の者は、南のほうで細々と生きながらえておりますが。それも女性や子どもといった力のない者ばかりですので」
 彼らの命を奪わないと判断したのは、ゼセール王だ。内戦の発端となった者は容赦なく処刑したが、それに巻き込まれた者はシステラ族といえども生かした。
 今ではすっかりとシステラ族もおとなしくなっている。ただ、システラ族に向かう視線は厳しいもので、生きながらえた彼らは身を縮めて生活をしているとも聞く。それがたまに爆発し、衝突し合うこともあるようだ。
 そこまで話を聞き終えたオネルヴァは、紅茶を一口飲んだ。
 ゼセール王国の現状は、オネルヴァが学んだ内容と一致している。
< 205 / 246 >

この作品をシェア

pagetop