初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「お兄様?」
「すまない。少し、感傷的になってしまった。可愛い妹が嫁ぐのが、やはり寂しいようだ」
アルヴィドは慌てて彼女の髪から手を離した。
「お兄様と、お義父様には感謝しております。ですから、ゼセールへ嫁ぐのは、わたくしの意思です」
アルヴィドの笑顔はどこか苦しそうに見えた。
「今日は、君の相手が決まったことを伝えにきたんだ」
「わたくしの相手、ですか?」
「そう。君の嫁ぎ先」
オネルヴァは森のような碧眼を大きく見開いた。
「イグナーツ・プレンバリ将軍を知っているか? ゼセール王国の軍人だ。そして、キシュアス再建のために、力を貸してくれた人物でもある。ゼセールの北軍を率いているから、北の将軍と呼ばれることもあるようだ」
ゼセール王国はキシュアス王国の南側にある。協力してくれたのが北軍であるのは、そういった地形的な意味もあるのだろう。それもここ数日間のうちに、オネルヴァが学んだ内容でもある。
「はい、お名前だけは」
「君の相手だ」
「はい」
夫となる人物の名を告げられても、オネルヴァはその名を紙の上でしか知らない。彼の瞳は何色なのか、どのような髪型なのか、身体は大きいのか、いくつくらいの人なのか、何も知らない。
「すまない。少し、感傷的になってしまった。可愛い妹が嫁ぐのが、やはり寂しいようだ」
アルヴィドは慌てて彼女の髪から手を離した。
「お兄様と、お義父様には感謝しております。ですから、ゼセールへ嫁ぐのは、わたくしの意思です」
アルヴィドの笑顔はどこか苦しそうに見えた。
「今日は、君の相手が決まったことを伝えにきたんだ」
「わたくしの相手、ですか?」
「そう。君の嫁ぎ先」
オネルヴァは森のような碧眼を大きく見開いた。
「イグナーツ・プレンバリ将軍を知っているか? ゼセール王国の軍人だ。そして、キシュアス再建のために、力を貸してくれた人物でもある。ゼセールの北軍を率いているから、北の将軍と呼ばれることもあるようだ」
ゼセール王国はキシュアス王国の南側にある。協力してくれたのが北軍であるのは、そういった地形的な意味もあるのだろう。それもここ数日間のうちに、オネルヴァが学んだ内容でもある。
「はい、お名前だけは」
「君の相手だ」
「はい」
夫となる人物の名を告げられても、オネルヴァはその名を紙の上でしか知らない。彼の瞳は何色なのか、どのような髪型なのか、身体は大きいのか、いくつくらいの人なのか、何も知らない。