初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
 ただイグナーツ・プレンバリ将軍という人物が存在していることしか知らないのだ。
「輿入れは、十日後」
「十日後、ですか?」
 異例の早さといってもいいだろう。
「ああ。互いの国のためだ」
 別に結婚したくないとか、行きたくないとか、そういった気持ちがあるわけではない。
 オネルヴァは、純粋に相手が気になっていた。
「どのような方ですか?」
「誰が?」
「プレンバリ将軍です」
 オネルヴァの発言が面白くなかったのか、アルヴィドは目を細める。少しだけ、睨んでいるようにも見える。
「どのような、というのは容姿をさしているのか? 身体は大きいな。俺よりも背が高い。年は四十を過ぎている」
 彼の年齢を聞いたとき、オネルヴァは思わず唇を噛みしめた。想像していたよりも、年上だった。だが、人質として嫁ぐのであれば、妥当なところなのだろう。きっと、愛妾として飼われるのだ。それくらいしか、自分には価値がないはず。
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