初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
「それから、幼い娘が一人いると聞いている」
「娘?」
「ああ。確か、五歳か、六歳か……。そのくらいの娘と言っていた」
 そのような環境で、愛妾がいてもいいのだろうか。
「だが、奥方はいない。だから、君が嫁ぐ」
 オネルヴァは伏せていた顔をあげる。
「奥様とは死別されたのですか?」
「そこまでは、聞いていない。ただ、娘が一人いるという情報だけだ」
 嫁いでから知るよりも、事前に教えてもらっていたほうがよい情報ではあるのだが。
「そうしますと、わたくしはその子の母親にもなるわけですね」
「そうなるな」
 答えたアルヴィドの声はどことなく不機嫌である。
「わたくしはわたくしの役割を全うするだけです。この国のために」
 オネルヴァの言葉に、アルヴィドは顔を背けた。
 オネルヴァも気まずくなり、口をつぐむ。
 しばらくそうしたあと、彼は部屋を出て行った。
 アルヴィドはオネルヴァの食が細いのを気にしていたようだが、オネルヴァから見たら前よりもかなり食べていると思っている。
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