初心な人質妻は愛に不器用なおっさん閣下に溺愛される、ときどき娘
エルシーが勉強の時間は、オネルヴァは刺繍をして過ごす。イグナーツは執務室で仕事をこなしている。パトリックがそちらにつきっきりであるため、オネルヴァはヘニーから刺繍を勧められたのだ。
こういった細かい作業も嫌いではない。黙々と手を動かしながら、今後のことを考える。
女主人として求められるもの。まずは後継者を産むこと。だが、イグナーツにはすでにエルシーという娘がいる。本来であれば男子のほうが望ましいのかもしれないが、婿養子を迎えればいいので、後継者について大きな問題はないだろう。
となれば、あとはイグナーツが不在の間、この屋敷を取りまとめることを必要とされているのだろうか。
今までのんびりとさせてもらったのも、慣れない場所で暮らすオネルヴァを想ってのことだとヘニーが言っていた。
この屋敷の女主人であること。
エルシーの母親であること。
これがオネルヴァに求められるもの。
扉を叩かれ、動かしていた手を留める。
「エルシーお嬢様がお呼びなのですが」
ヘニーが遠慮がちに声をかけてきた。
「では、サロンに向かいます。エルシーにもそう伝えてください」
エルシーの勉強の時間が終わったのだ。勉強を終えた彼女はへろへろに疲れ切って、甘いお菓子を欲しがる。それに付き合うのがオネルヴァの役目でもあるのだが。
だが今日は、イグナーツにも声をかけてみようと思った。そのほうが、エルシーも喜ぶだろう。
刺繍道具をしまい、ヘニーに言付けると、イグナーツの執務室へと向かった。
こういった細かい作業も嫌いではない。黙々と手を動かしながら、今後のことを考える。
女主人として求められるもの。まずは後継者を産むこと。だが、イグナーツにはすでにエルシーという娘がいる。本来であれば男子のほうが望ましいのかもしれないが、婿養子を迎えればいいので、後継者について大きな問題はないだろう。
となれば、あとはイグナーツが不在の間、この屋敷を取りまとめることを必要とされているのだろうか。
今までのんびりとさせてもらったのも、慣れない場所で暮らすオネルヴァを想ってのことだとヘニーが言っていた。
この屋敷の女主人であること。
エルシーの母親であること。
これがオネルヴァに求められるもの。
扉を叩かれ、動かしていた手を留める。
「エルシーお嬢様がお呼びなのですが」
ヘニーが遠慮がちに声をかけてきた。
「では、サロンに向かいます。エルシーにもそう伝えてください」
エルシーの勉強の時間が終わったのだ。勉強を終えた彼女はへろへろに疲れ切って、甘いお菓子を欲しがる。それに付き合うのがオネルヴァの役目でもあるのだが。
だが今日は、イグナーツにも声をかけてみようと思った。そのほうが、エルシーも喜ぶだろう。
刺繍道具をしまい、ヘニーに言付けると、イグナーツの執務室へと向かった。