れんれんと恋するための30日


福が出場する種目は、午前の部の100m走とダンス、午後の部の選抜リレーの三種目だ。
生まれて初めての運動会に、福は高まる期待と興奮で笑顔が止まらない。

朝の開会式を終えると、最初に短距離走がある。
福は青のハチマキをポニーテールの髪にしっかり巻いて、招集場へ向かった。
そこには、同じ青のハチマキを巻いた拓巳もいる。


「幸、先に俺が一番取るから、幸も頑張って」


拓巳は笑顔で福を勇気づける。


「うん、自分がどれくらいなのかさっぱり分からないけど、でも、頑張るね」


福がそう言うと拓巳は笑顔で頷き、男子のスタートラインまで向かう。

拓巳、頑張れ…
心の中で、福は何度もそう祈った。

一年生が白、二年生が青、三年生は赤のチームに分かれている。
例年、二年生が強いらしい。
今年も優勝を勝ち取るためには、この短距離走は大事な種目だった。
校庭を突っ切るように一直線に引かれた100m走用のトラックは、とても美しく白線が光り輝いている。
そして、その横に、それぞれの応援団が一列に並んでいる。

拓巳は三番目のスタートだった。
今の時点で、青チームはまだ一位を取れていない。



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