れんれんと恋するための30日
神様、今の私じゃダメですか⁇


「ママもパパも、絶対、今日の体育祭、見に来てね」


体育祭の当日、福は半信半疑で福を見ている両親にそうお願いした。


「幸、ほんとなの? 
本当に短距離走と選抜リレーに出るの?」


「うん、出るから絶対見に来て。
きっとこれが最初で最後だから」


福は時間がないのを理由に、戸惑っている父と母を残して玄関から飛び出した。

パパもママも、幸の中に福がいるなんて夢にも思ってもいない。
でも、少しでも福を感じてほしい。
大人しい幸にも、福のような活発な面があるんだと驚いてほしい。
元気だった頃の福を思いながら、今の頑張る幸の姿を見てほしかった。

今日の天気は雲一つない青空だ。
福は蓮の家の前を急ぎ足で通り過ぎる。

あの日以来、福は蓮を避けていた。
蓮の事より、今はやらなきゃならない事がたくさんある。
そう自分に言い聞かせながら、福は、この体育祭を迎えた。


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