れんれんと恋するための30日
蓮と幸はバイトを終えて、まずは近くのファミレスで食事をとった。
蓮はこの日のために綿密なスケジュールを立てていた。
高校生の蓮の知識の中で、星空がよく見えるスポットは、自分の地元にある運動公園しか思いつかなかった。
小学生の時、ふたご座流星群が見える年に、担任の先生がこの公園はよく見えると言ってたのを思い出しただけだ。
食事を済ませた二人は、いつもの電車に乗り、いつもの駅で降り、いつもの道で帰る予定だったけれど、蓮が幸を喜ばせたのは自転車だった。
「れんれん、今日は自転車で駅まで来たんだ」
幸は可愛らしい笑顔を浮かべて、興奮している。
「幸、今日は、幸の母さんに遅くなるってちゃんと言ってきた?」
幸はうんと頷いた。
「じゃ、今から、この自転車に乗って運動公園まで行くから」
「運動公園?」
「そう、そこで、今日は星を見上げる会を行います。
ちょっと遠いけど、自転車の後ろで大丈夫?」
幸はもうすでに涙目になっている。
「泣くのまだ早いんですけど…
星空が見えるまでその涙はとっとかないと」
「…うん」
幸はそう言うと、自転車の後ろに乗り蓮の腰にしがみついた。
「よっしゃ~、出発~~~」