憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
『……切るぞ。』
「あっ、待って…!」
聞き惚れてた時間は長かったように感じる。
切ると言われて反射的に言葉が出た。
微かに笑った声が聞こえた気がして、ようやく自分から話せた。
「私…、白井、彩です。」
『おー。』
「おー。って…。それだけ?」
頑張ってかけたのにっ!
『いや、やっとかけて来たこいつと思って。全然かけて来ねーから紙捨てたかと思ってた。』
「電話って、緊張するもん…。それに、電話しなくても会えてたから…。」
『…俺と会えなくて寂しいの。彩』
久しぶりに呼んでもらえた自分の名前
ぎゅっと携帯を握りしめて耳に押し当てた。
「もう一回呼んで?」
『彩』
食い気味に呼んでくれた。きっとニヤッと笑ってるんだろう。それでも綺麗な顔には変わりない。
久しぶりの嬉しさを静かに噛み締めていると
『お前は俺のこと呼んでくれないの。』
その声は少しだけ寂しそうに聞こえた。
私と同じ気持ちなのかと勝手に想像して嬉しくなる。
「理玖!…理玖、会いたい!」
勢いで出た言葉に慌てるものの、それが1番言いたかったことだと自分を落ち着ける。