憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした





『……切るぞ。』

「あっ、待って…!」


聞き惚れてた時間は長かったように感じる。
切ると言われて反射的に言葉が出た。



微かに笑った声が聞こえた気がして、ようやく自分から話せた。



「私…、白井、彩です。」

『おー。』

「おー。って…。それだけ?」


頑張ってかけたのにっ!


『いや、やっとかけて来たこいつと思って。全然かけて来ねーから紙捨てたかと思ってた。』


「電話って、緊張するもん…。それに、電話しなくても会えてたから…。」


『…俺と会えなくて寂しいの。彩』



久しぶりに呼んでもらえた自分の名前
ぎゅっと携帯を握りしめて耳に押し当てた。


「もう一回呼んで?」

『彩』

食い気味に呼んでくれた。きっとニヤッと笑ってるんだろう。それでも綺麗な顔には変わりない。



久しぶりの嬉しさを静かに噛み締めていると

『お前は俺のこと呼んでくれないの。』

その声は少しだけ寂しそうに聞こえた。



私と同じ気持ちなのかと勝手に想像して嬉しくなる。


「理玖!…理玖、会いたい!」

勢いで出た言葉に慌てるものの、それが1番言いたかったことだと自分を落ち着ける。



< 103 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop