憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
執事の顔とはまた違う笑顔を浮かべて横山さんを乗せたエレベーターが閉まってしまった。
赤い絨毯が敷かれたドアの前でおろおろする。
何度もインターホンに手を伸ばしては引っ込めてを繰り返し、ついに押してしまう。
ガチャッ…と静かに開き、久しぶりに綺麗な顔が見れた。
「遅い。」
その言葉とは裏腹に優しい顔をしていて、つい見惚れた。
固まる私の手を引っ張ってドアが閉まると全身が包まれた。
制服とは違う。彼のプライベートな空間で私服だからだろうか。記憶にある匂いより濃く感じた。
覆い被さるように抱きしめられ、幸せな苦しみを感じながら私も背中にしがみつく。
彼の重みにふらつきながら、ドアに背を預けると少しの距離を置いて彼の顔がドアップで映った。
「彩」
久しぶりに名前を呼んでもらえた。
こつんとぶつかった額
理玖の背中に回した手に力が入ったことを感じつつ、今度は鼻が触れ合う。
どちらからともなく唇が重なった。