憧れのヒーローはヤンキー?いや、私の王子様でした
…そんなに嫌われてるんだ私、
好かれてないとは思っていたけど、ここまでとは思わなかった。
「分かった?また襲われたくなければ、あの棟に近づかないこと。…破ったら、その時は覚悟しろよ?」
その日の放課後から私は空き教室に行かなくなった。
お昼もクラスの子たちと一緒に食べて、放課後も一緒に駅まで帰る。
そして家に着いてからは幸せな日々を思い出しては目が腫れるくらい泣いていた。
「明日から冬休みだからって気を緩めすぎるなよー!」
担任の言葉をかき消すほどの賑やかさで2学期を終え、冬休みに入った。
「彩ちゃん!冬休み遊ぼうね!」
「またバイトで会おうね!」
夏休みとは比べ物にならない喪失感を持って冬休みに突入するのは自分が壊れる気がして、クラスの子たち数人に誘われたバイトを一緒にすることにした。
1人でいると理玖のことを考えて冬休み中病人のような日々を過ごすことが容易に想像できた。
理玖のいないぽっかり空いたスペースを友達で必死に埋めようと努力する日々