ヒーローはかわいい天使さま
「走ったら危ないだろ。ショックなのはわかるけど」
胸が殴られたみたいに痛んだ。思わず彼を睨んだ。
「ショック? 私が?」
「そうだろ、だって來実は……、」
「私の気持ち、碧維にはわからない。勝手に決めつけないで!」
叫ばずにはいられなかった。
「わかるよ。泣いてるだろ!」
「泣いてない!」
手の甲で涙をごしごしと拭っていると、その手もつかまれた。
「泣かせて、ごめん」
――いやだ。あやまらないで。余計にみじめになる。
こんなときでもやさしい彼が憎たらしく感じた。
「私のことはもう、気にかけなくていいよ。碧維、……お幸せに」
顔に笑顔をせいいっぱい作る。彼は目を見開いて固まった。
「ふ、二人とも……足、速い……」
息を切らせながら追いついた華恋先輩に、碧維が気を取られた。その隙に手を振りほどき、再び走り出した。
「來実、話はまだ終わってない!」
「私はない!」と振り向いて叫ぶ。
碧維のそばにはしゃがみ込む華恋先輩の姿が見えた。疲弊している先輩が気になって足を止めたが、碧維がいる。思い直し前を向くと、今度こそ追いつかれないように路地に入り込んだ。
細い道を右へ左へと曲がる。私が逃げ込んだのは、小学生のころよく遊んだ公園だ。来るのは久しぶりで、ここならしばらく見つからないだろうと足を止めた。
昼下がりの公園には子どもが二人いた。男の子と女の子は仲よく遊具で遊んでいる。私は木陰に座り、下を向いた。はあっと大きなため息を吐き出した。
涙が止まらなかった。ぽたぽたと、土の地面に水玉もようができていく。
碧維が好きと自覚すると同時に、失恋してしまった。もう、今までの関係は続けられないと思うと悲しかった。
スマホがさっきからずっと鳴っている。碧維からなのはわかっているけれど、出ることはできない。そっと、電源を切った。
涙を拭こうとハンカチタオルを取り出したときだった。子どもが大声で鳴きだして顔をあげた。
私は立ち上がり、寝っ転がったままの子どものそばに駆けよった。
胸が殴られたみたいに痛んだ。思わず彼を睨んだ。
「ショック? 私が?」
「そうだろ、だって來実は……、」
「私の気持ち、碧維にはわからない。勝手に決めつけないで!」
叫ばずにはいられなかった。
「わかるよ。泣いてるだろ!」
「泣いてない!」
手の甲で涙をごしごしと拭っていると、その手もつかまれた。
「泣かせて、ごめん」
――いやだ。あやまらないで。余計にみじめになる。
こんなときでもやさしい彼が憎たらしく感じた。
「私のことはもう、気にかけなくていいよ。碧維、……お幸せに」
顔に笑顔をせいいっぱい作る。彼は目を見開いて固まった。
「ふ、二人とも……足、速い……」
息を切らせながら追いついた華恋先輩に、碧維が気を取られた。その隙に手を振りほどき、再び走り出した。
「來実、話はまだ終わってない!」
「私はない!」と振り向いて叫ぶ。
碧維のそばにはしゃがみ込む華恋先輩の姿が見えた。疲弊している先輩が気になって足を止めたが、碧維がいる。思い直し前を向くと、今度こそ追いつかれないように路地に入り込んだ。
細い道を右へ左へと曲がる。私が逃げ込んだのは、小学生のころよく遊んだ公園だ。来るのは久しぶりで、ここならしばらく見つからないだろうと足を止めた。
昼下がりの公園には子どもが二人いた。男の子と女の子は仲よく遊具で遊んでいる。私は木陰に座り、下を向いた。はあっと大きなため息を吐き出した。
涙が止まらなかった。ぽたぽたと、土の地面に水玉もようができていく。
碧維が好きと自覚すると同時に、失恋してしまった。もう、今までの関係は続けられないと思うと悲しかった。
スマホがさっきからずっと鳴っている。碧維からなのはわかっているけれど、出ることはできない。そっと、電源を切った。
涙を拭こうとハンカチタオルを取り出したときだった。子どもが大声で鳴きだして顔をあげた。
私は立ち上がり、寝っ転がったままの子どものそばに駆けよった。