ヒーローはかわいい天使さま
それは、とても小さいころの話。一度も忘れたことがない、大事な約束。
目頭が熱くなって、堪えるためにぐっと唇をかむと、首を横に振った。
「確かに來実は、昔から運動神経もいいし、やさしくてかっこよかった。俺が泣いているとさっきみたい頭をなでて、いつもなぐさめてくれた。今も、昔も、変わらず來実は俺のかわいいヒーローだよ」
堪ええきれずに涙が溢れると、やさしい指先がそっとすくっていく。
「守ってもらうんじゃなく、來実みたいに守れるように強くなったら、告白しようと決めていた。やっと自分に自信が持てた矢先、朱翔たちが付き合いはじめて……兄貴に失恋して、落ち込む隙を突くように告白するのは卑怯だと思って……躊躇してた」
涙を拭った指先が私の髪に触れた。
「卑怯でも伝えないとはじまらないって、身に染みてわかった。來実は、みんなと仲よくしてと言ったけど、俺は好きでもない子と仲よくするつもりはないし、付き合いたい彼女は、一人だけだ」
やっぱり雨にあたりたい。そうじゃないと全身が熱くて茹だりそうだ。
碧維の顔がさっきよりも近かった。鼻先が触れそうな距離とよぎる期待で、心臓が破裂しそうで苦しい。思わず顔を逸らすと、両頬を包み込むように抑えられ戻された。
「もういいよな。告白しても」
「……だめ!」
「なんで?」
「心臓が、破裂しそうだから!」
碧維は目を見開いた。「心臓破裂はこまる」とうーんと唸っていたけれど、しばらくして彼はそっとささやいた。
「俺のヒーロー、好きな子を教えるから協力してよ。俺を、長年の片思いから救って」
碧維は私にとって大事な人。求められて、愛しさで胸がいっぱいになった。
「……わかった。いいよ。碧維の好きな人の名前、言って」
口にしたあと、ぎゅっと目を閉じた。すると、両頬を手で包まれ、顔を持ちあげられた。
至近距離で目が合うと、彼は満足そうに目を細めた。
「ずっと前から好きだった。俺の、好きな子の名前は……」
息を止めて待っていると、彼のスマホが大音量で鳴った。思わず、二人で肩を跳ね上げる。
「誰だよ、こんなときにって、朱翔だ」
「朱翔くん?」
目頭が熱くなって、堪えるためにぐっと唇をかむと、首を横に振った。
「確かに來実は、昔から運動神経もいいし、やさしくてかっこよかった。俺が泣いているとさっきみたい頭をなでて、いつもなぐさめてくれた。今も、昔も、変わらず來実は俺のかわいいヒーローだよ」
堪ええきれずに涙が溢れると、やさしい指先がそっとすくっていく。
「守ってもらうんじゃなく、來実みたいに守れるように強くなったら、告白しようと決めていた。やっと自分に自信が持てた矢先、朱翔たちが付き合いはじめて……兄貴に失恋して、落ち込む隙を突くように告白するのは卑怯だと思って……躊躇してた」
涙を拭った指先が私の髪に触れた。
「卑怯でも伝えないとはじまらないって、身に染みてわかった。來実は、みんなと仲よくしてと言ったけど、俺は好きでもない子と仲よくするつもりはないし、付き合いたい彼女は、一人だけだ」
やっぱり雨にあたりたい。そうじゃないと全身が熱くて茹だりそうだ。
碧維の顔がさっきよりも近かった。鼻先が触れそうな距離とよぎる期待で、心臓が破裂しそうで苦しい。思わず顔を逸らすと、両頬を包み込むように抑えられ戻された。
「もういいよな。告白しても」
「……だめ!」
「なんで?」
「心臓が、破裂しそうだから!」
碧維は目を見開いた。「心臓破裂はこまる」とうーんと唸っていたけれど、しばらくして彼はそっとささやいた。
「俺のヒーロー、好きな子を教えるから協力してよ。俺を、長年の片思いから救って」
碧維は私にとって大事な人。求められて、愛しさで胸がいっぱいになった。
「……わかった。いいよ。碧維の好きな人の名前、言って」
口にしたあと、ぎゅっと目を閉じた。すると、両頬を手で包まれ、顔を持ちあげられた。
至近距離で目が合うと、彼は満足そうに目を細めた。
「ずっと前から好きだった。俺の、好きな子の名前は……」
息を止めて待っていると、彼のスマホが大音量で鳴った。思わず、二人で肩を跳ね上げる。
「誰だよ、こんなときにって、朱翔だ」
「朱翔くん?」