天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 直後、周りから拍手と控えめに歓声が上がる。いつの間にか私の後方に数人の社員がいて様子を見守っていたらしいが、集中していてまったく気づかなかった。

 しかも、その中には添田さんがいて驚く。

「添田さん! 戻っていたんですか」
「ああ、そしたら大変なことになっているから肝を冷やしたよ。降旗さんが集中していたから声はかけなかったけど」

 彼女も安堵した様子で言い、「まだ終わりじゃなかったな」とモニターのほうを指差す。そう、無事到着はしたけれど、乗客に問題がないかを確認する一番大事な仕事が残っている。

 再びデスクに向き直った時、滑走路をゆっくり移動していたHA479便の無線から音がし始める。

『Hachijyo redio,HA479. Runway vacated.(八丈レディオ、こちらヒノモトエアー479。滑走路を離脱しました)』

 ひどい雑音が交ざっているが、さっきよりも声が聞こえてきて皆がどよめいた。一時的かもしれないが、まさかこのタイミングで交信ができるなんて。

 もっと早く復活してよ~と無線にツッコみたくなりつつ、ひとまず返事をする。

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