天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 その後すぐ、交信は再び途切れ途切れになり完全に聞こえなくなってしまった。どうやら一瞬息を吹き返しただけだったらしい。

 空港職員を通して連絡を受けたところ、機体のほうも飛行に影響のある不具合は今のところ無線だけだそう。これから修理をしなければならないので、東京に戻れるのは明日以降になりそうだが、とにかく全員が無事でよかった。

 ドローンの所有者も判明し、誤って飛ばしてしまったらしく謝罪を受けたと報告された。こちらもいたずらなどではなくよかったが、大きな影響が出るので今後は気をつけてもらいたい。

 ひと通りのやり取りを終え、ようやく完全に肩の力を抜いたところで、笑みを浮かべた添田さんが話しかける。

「降旗さん、よくやったよ。お疲れ様」
「ほんと、立派になったねぇ」

 城戸さんも感無量だといった調子で言う。私は軽く首を横に振り、「城戸さんがいたから落ち着いてできたんです」と微笑んだ。

 添田さんは腕を組み、意味ありげに口角を上げる。

「パイロット、相良さんだったんだって? 旦那からラブコールも受け取れてよかったな」
「へ!? ら、ラブコールでは……!」
「いーや、あれは俺にもそう聞こえた。夫婦の仲を見せつけてくれちゃって」

 城戸さんも加わり、ニヤけた顔で冷やかしてくる。そう言われるとめちゃくちゃ恥ずかしいのだけど。

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