不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「いや~、昨日、帰ってから気がついて。
 一度、課長の家に伺ったんですけどね。

 おやすみのようだったので、チャイム鳴らしたら怒られるかな~と思って」

 鍵かけた覚えないのに開かないし、と愚痴って、
「うちはオートロックだ」
と言われる。

「やっぱりそうなんですか。
 でも、自宅がオートロックって、怖くないですか?

 まあ、課長なら、うっかり、ひょいっと郵便物とりに出て、締め出されるとかないですかね?」

「だから、うちの鍵は指紋認証だ」

 あ~、と和香は声を上げた。

 だから、あのとき、鍵を出した様子もなかったのに、扉が開いたのか、と思う。

「とりあえず、ありがとうございました。

 いや~、もう不動産屋さんに借りた鍵、コピーするしかないかなと思ってたところでした。

 自分の家なのに、こっそり合鍵作る犯罪者の気分でしたよ~」

「いや、鍵落としたら、鍵かえろ」
と耀にまで言われてしまう。
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