不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「いらっしゃいませ。
 何名様ですか?」

「あ、に、……」

 二名です。
 では、こちらへどうぞ~とかいう流れになって、うっかり中に入って座って待ってたりしたら、怒られそうだな。

 カップルでも友人でもないんだし、と思ったとき、後ろから、

「二名だ」
と声がした。

 振り向くと、耀が立っていた。

 あちらの席にどうぞ~と笑顔で言われ、落ち着いた感じの奥側の席に行く。

「すみません。
 寒かったので、先に中に入っちゃって」
と言うと、耀はメニューを見ながら、

「いや、いい。
 遅れたのは俺の方だし」
と言う。

「お前のことだから、中に入って、先に一杯やってるかなと思ってた」

 いや、先に一杯とか、幾ら私でもやりませんよ、と思いながら、和香はメニューを眺める。

 当たり前だが、トンカツがいっぱいだ。
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