不埒な上司と一夜で恋は生まれません
 濃厚な感じのソースが美味しそうだな。

 どれがいいかな、と和香は真剣に悩む。

 まだ新しい店内は、壁もカウンターも木のいい匂いがしていた。

「あ、デザートもいいですね。
 抹茶系の美味しそう」

「食べられそうなら、デザートも食べろ。
 ……抹茶が好きなのか」

「はい。
 そういえば、昔、おばさんが、京都で美味しい抹茶のスイーツを食べたらしいんですが。

 ひょっと時間つぶしに入っただけの店だったんで、店名が思い出せないらしいんですよ。

 ゴジラに壊される前の京都駅にあった甘味処らしいんですが」

「……あれ、ほんとにゴジラに壊されて、改装したわけじゃないからな。

 っていうか、ゴジラが京都壊したの、ずいぶん前の話じゃないか?

 お前が言ってんの、ガメラだろ。

 いや、ガメラが壊したの、新しい方の京都駅じゃなかったか?」

 そこで和香はスマホを取り出すと、すぐに調べ、

「あ、ほんとだ」
と言った。
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