不埒な上司と一夜で恋は生まれません
 まあ、課長は美しいが男だし。

 そんなに襲われることもないだろう。

 っていうか、さっき肩組んで思ったけど、見た目より筋肉質だし。

 きっと生真面目にジムとかで鍛えているに違いない。

 屈強な泥棒とか入ってきても、屈強に抵抗できるだろう。

 帰ろう。

 狭い我が家のふかふの布団を思い描きながら、和香は帰ろうとした。

 だが、そのとき、誰かがぐっと自分の腕をつかんだ。

 見ると、耀があの鋭い目でこちらを見ている。

「石崎……?」
とよく響くいい声で訊いてくるので、ホッとした。

 一眠りして、ようやく酔いが覚めたと思ったのだ。
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