ヴァンパイアな彼等
「別にいいぜ?俺等もそろそろ帰るし」
「じゃあ、2人共明日からの学園生活楽しんで?困ったことがあったら相談してくれて構わないから」
翔月と怜也にそう言われ、案外、アッサリ帰宅の許可が出たことに拍子抜けした。
でも、帰っていい言うのなら彼等の気が変わらないうちにお暇することにしよう…。
「…姉さん、行こう?」
「う、うん」
冬夜に促された私は、くるりと踵を返し、保健室の扉を潜って外に出た。
その時。
「あ、柚葉ちゃん。僕の妹のことよろしくね〜」
最後に凪が満面の笑みで、大きく手を振りながら、そんなことを叫んでいる姿が視界に入る。
…?
いまいち、彼の言っている意味が分からなかったがその場は適当に相槌を打って誤魔化した。
けど、翌日。
1年A組のクラスに足を踏み入れた瞬間、凪の言葉の意味を私は知ることになる―。