ヴァンパイアな彼等

序列や血統を重んじるヴァンパイアの多くは、凝り固まった思想とプライドの高さは一級品。

"人間よりもヴァンパイアは至高の存在である"、そんな下らない考えを持つ連中ばかり。

NVを嫌悪するのもその思想ゆえ。

だからこそ、彼女みたいな存在は私にとって珍しかった。

「今度紹介するよ。私も友達の芽亜里ちゃん、紹介したいし」

「と、友達…っ、うん。楽しみにしてるね」

"友達"というワードに芽亜里ちゃんは、感動したのか若干、ウルウルと瞳を潤ませている。

「そうだ…!私も柚葉ちゃんのこと紹介したい人がいるの。私のお兄ちゃんなんだけど」

「お兄ちゃん…?」

「そうなの!高等部の2年生なんだ。あ、でも…昨日保健室一緒に行ってたもんね…話した?」

その瞬間、私の頭の中に浮かんだのは芽亜里ちゃんのフルネームだった。

"藤峰芽亜里"

藤峰ってまさか…。

「柚葉ちゃん…?」

徐々に顔色が悪くなる私を、芽亜里ちゃんが不思議そうに見つめる。
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