ヴァンパイアな彼等

「芽亜里ちゃんのお兄さんの名前って…」

おずおずと彼女に向かって問いかけた。

私の予想が外れていますように、そう願いながら…。

「名前?凪くん、藤峰凪だよ」

…!!

ニコッと可愛らしく微笑んでそう言う芽亜里ちゃん。

そんな彼女をよそに、私は昨日、帰り際に凪から言われた言葉を思い出していた。

『あ、柚葉ちゃん。僕の妹のことよろしくね〜』

あの時は、何を言ってるのか意味が分からなかったけれど…これでようやく点と点が繋がったわ…。

「藤峰先輩の…妹。昨日は少しだけ話はしたんだけどまさか、芽亜里ちゃんのお兄さんだとは思わなかったなぁ…」

あははと、苦笑いを浮かべつつ、当たり障りなくそう答えた私。

しかし、その時、私の頭の中では1つの疑問が浮かでいて…。

芽亜里ちゃんが藤峰ってことは、彼女もヴァンパイア?

目の前で天使のように微笑む彼女はどう見てもヴァンパイアに見えないし。
そもそも、ここまで近い距離にいて、私が察知できないはずがない。
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