ウチの居候ヴァンパイアくん。
アキラの電話番号はもう登録済みだ。
由里は急いでアキラの番号に電話を掛けた。
2コール目が鳴り終わる前に、繋がった。
『もしもし、向井です。』
アキラの声だ。
由里は震える声で「高梨です。」と言った。
『由里さん、よかった。また会えて嬉しい。』
「アキラ君、私も話したいことが…」
「何、話したいことって?」
後ろから声がしたので振り向くと、アキラがそこに立っていた。
耳に当てていたスマホを下ろすと、アキラは由里を見てにっこり笑った。
「え!?なんで?打合せの後、会社に戻ったんじゃ…」
由里が驚きを隠せないまま尋ねると、アキラは少し恥ずかしそうに言った。
「戻る予定だったけど、直帰に変えて、ずっとあのカフェで待ってた。」
アキラはすぐ近くにあるカフェを指さしながら言葉を続ける。
「だって由里さん、もしかしたら連絡せずに帰っちゃうかもと思って。待っといた方が確実に会えるからさ。」
そう話すアキラの顔は、夕日に照らされて陰っているからか、少し緊張しているように見える。