ヴァンパイアガールズ
私は無事切り刻まれずに済んで。

くるくるとペンをいじりながら,復習をする教師の声を耳に流した。

ちはや,あの人,同い年なんだ。

そんなことを思い出している今。

伸長が高くてえらそうだから,先輩だと思った。

今度会ったら,その勘違い分の仕返しはしたい。

でも確かに美海が特待生だと言っていたし,人間の特待生は偏差値的にも珍しく,歴代にも片手で数えるほどだとか。

去年も一昨年も0。

特待生と言えば,私達と同じ年なんだった。

でも逆に,歴代にもそれだけいるのが逆に不思議だと,ヴァンパイアに混ざってる自分を棚にあげた日を覚えている。

ふぅんと,また思い出す。

……へんなひと。

そこで私は顔をあげた。

授業の単元が新しくなったようだった。

国語の時間,私は誰にも聞こえない声で小さく題名を読み上げる。



「灰拾い物語」



悲恋かと思いきや,周りの反応を見るにそうではない。

子供でも親しむ,ヴァンパイアの童話らしかった。

今一度深く読み,理解せよと。

その言葉を聞いて,私は題名を指でなぞる。

ヴァンパイアの,どうわ。

一体どんなものなのだろうと思って,私はつ……と文字を目で追った。
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