ヴァンパイアガールズ
体育なのだろう,人間が走っていた。

ちはやはだるそうに走っていたが,速かった。

ゴールが近づいて,今まではそれでもセーブしていたのか。

誰にも追い付けないスピードでゴールする。

将来のオリンピック1位は彼で決まりだなと,私はとても素直に驚いた。

目が離せない。

駆け寄ってるのは,友達?

どこか嫌がるような動作を見せているちはやは,バランスが悪くておかしかった。

やっぱり,天の邪鬼なシュウに似てる。

似てるからなのか,まだ視線を逸らす気にはならない。

ちはやはどうしてこの学園を選んだんだろう。

もちろん,試験の中で1番難易度が高いのがこの学園が,ステータスになるからだったかもしれないけど。

入学したなら,いれられるのは成績の悪い人間ばかりのクラス。

ヴァンパイアと同じ条件で入学しているのに,授業は平均以下レベルで。

学費免除くらいなら他で受けられるのに,どうしてこの学園じゃなきゃいけなかったんだろう。

……家が近いとか?

ありえる,適当そうな男だった。

チャイムが鳴って,私は考えるのをやめた。

これ以上は,馬鹿になる。
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