ヴァンパイアガールズ
私は直ぐ様断った。

けれど,無言で見つめ返され。

『いいの? 俺,いつまで黙ってるかわかんねぇけど』

そう愉しげに瞳が歪む。



「最低」



ぽつりと呟けば



「ん? 何も言ってないけど」



そうニコリと似合わない笑みが返ってきた。

私はため息をついて,一旦ちはやから離れ,もっと暗い影に入る。

『ごめん,用事出来たから,先帰るね。美海は家遠いんだから,寄り道しないように。2人は見張っておいて』

本当は,いつもの3人と帰るはずだった。

だけど美海が



「お腹空いた」とどこかへふらっと自慢の足を活用し。



怒ったシュウが追いかけていき。

ハルはそんな2人を纏めるために,私の変わりに走ってくれた。

瞬く間に姿を見失った私は,先に下駄箱へと来ていたのだった。



「……いくよ」



どうしてもちはやと一緒でなくてはいけないなら,目立たず最速で帰りたい。
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