ヴァンパイアガールズ
「ここにする」
帰路が異なると,普通に別れようとしたのに。
さっさと別れたい私の思いは全て無視され,1つのご飯屋さんに連れられていた。
1人だからとただ一緒に帰りたいなんて,そんなわけないと。
それが自意識過剰であった事に気付き,空いてないお腹に辟易しながら席につく。
静かで,早起きな人間の多い店だった。
ちはやのあまりに綺麗な顔立ちに,仕事に向かうと思われる人間がこぞって時計を確認する。
まだ大丈夫かと,私達の制服を確認して首をかしげながらも,皆ほっとした顔をした。
食事を取りに来て灰を見たくはないのだろう。
ちはやが注文を取ろうと近くにいた店員に声をかける。
人間の男だったためか,ちはやには大して興味をもたず,何故か私をちらちらと見た。
「もう決まったの?」
私はまだメニューを開いたところだったのに,と見ながら聞くと,1つ頷きが返ってくる。
「先にどうぞ」
私はぺらりともう1枚捲った。