ヴァンパイアガールズ
「なるわけないだろ」



ハンッと鼻で笑ったその言葉が,私に聞こえないとでも?

私はちはやを睨んだ。



「そういう体が大事なの。悠長にどうどうとこんなところにいるの,見られたら困るの」



太陽の下を歩いていた,なんて人間の中で噂されちゃ,大打撃になる。

関係ない方向を見るふりをしながら,小さく言い返した。



「はいはい,さくっと食い終わればいいんだろ」

「終わんなかったら置いて帰るから。あんまり無茶言わないでよ」

「分かってる。……あとの注文はまた後でする。メインから準に持ってきてくれ。お前は?」

「本田浅海。フェアじゃないからお前って呼ばないで。あの,じゃあこれで」



私は小さなパフェと,アップルのジュースを指差す。

見ようとかがんだ店員の頬が,少し赤くなった。



「では,ご注文の確認を……」

「長くなるからいい。でしょ?」

「ああ,どうせまだ頼むし,少しくらい間違ったところで」

「りょ,了解しました~」



変な客の相手をさせられて可哀想だと,私はちはやを見ながら哀れむ。



「それだけで良かったのか?」



と,店員がいなくなってからちはやは口にした。
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