幼なじみ、じゃない。


もう落ち着きなんて、どこかへ行ってしまったみたい。


だけどこの高鳴りの理由は、それだけじゃなくて。



「……さっき、さ」


「ん?」



向けられる笑顔が、とても優しくて……期待してもいいのかなって思ってしまう。


今は切なさよりも、期待と胸に感じる温かさの方が大きい。



「っ、」



なんともない、ただの幼なじみだって言われたらどうしよう。

恋とかの感情なく言われた言葉だったら?



ーー『俺の中で、一番大事な子』って。



何度も何度も考えてきた。その度に否定して。



「…ちゃんと聞くから、言って?」



その泣きそうなほど優しい声に、驚くくらい言葉がするりと喉を通った。



「……『一番大事な子』って、…どういうこと?」



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