赤と黒に溶ける
泣きたい気持ちで、神社の出入り口のほうに早足で歩いていると、すれ違う人にドンッと押されて、身体が前に傾いた。
次の瞬間。
パチン――。
破裂音がして、私の赤色が目の前で弾ける。
「あ……」
地面に手と膝をついて転んだ私の顔に水飛沫が散り、形の良い楕円だった綺麗な赤色のヨーヨーが、汚く濁って縮んでいった。
せっかく、佑くんが私のためにとってくれたのに……。
弾けて縮んだヨーヨーは、佑くんにフラれてみじめな私みたい……。
打ち付けた膝の痛みと、赤色が無残に弾け散ったショックと。その両方が引鉄になって、我慢していた涙がじわりと目に滲む。