赤と黒に溶ける

「来てるなら連絡くれたらよかったのに。もしかして、佑、ひとり?」

「なわけないだろ。ちゃんとツレいるよ」

「えー、どこどこ? 誰もいないじゃん。はぐれちゃったなら、私が一緒に回ってあげようか?」

 牡丹柄の浴衣の女の子が、佑くんの腕に腕を絡めてニコッと笑う。

「おい、ちょっと。やめろって……」

 私に対しては何の気遣いも見せなかったくせに……。

 佑くんは、彼女にベタベタくっつかれてちょっと照れてる。

 牡丹柄の浴衣の彼女は、綺麗で、おとなっぽくて。

 佑くんとくっついて並ぶと、恋人同士みたい。

 彼女にくっつかれて顔を赤くして困ってる佑くんに、私の胸がズキンとなった。
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