学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした
「…俺と契約すれば、記憶を無くさずに吸血できる。」
「契約?」
「命を繋ぐ…的なことかな。片方が死んだらもう片方も死ぬ、片方が死ぬまで死ねない、そんな契約。
混血となら傷の治りが早くなるくらいでいいかもしれない。けど、純血の吸血鬼なんかと契約しちゃうと、秦野ちゃんも吸血鬼になるようなもんなんだ。
寿命は相当延びるし、傷もすぐに癒えて簡単には死ねない。血を吸わないといけないとか、太陽光がダメになったりとかはしないけど、普通の人間としては生きていけなくなる。
あと、契約すると契約者の血しか受け付けなくなるから、俺に一生吸血される。」
「それって先輩の寿命も削ることになったりしませんか?」
「え、今の話で気になるのそこ?
そりゃあ俺も純血の吸血鬼にしては大分早く死ぬだろうね。けど俺はそれでなんの問題も無い。吸血鬼嫌いだし、あいつらと生きたくないし。」
「じゃあ問題ないですね。契約しましょう。」
「いやいやいや、俺の話ちゃんと聞いてた?
秦野ちゃんからすると問題しかないでしょう。
今は俺が好きだから、俺が死ななくて、他の女から吸血しなくてよくなって、それでいいかもしれない。
でもそうじゃなくなったら?
ただ長い寿命を持て余して、好きでもない俺に血を吸われて、そうやって生きていくことになるんだよ?」
「大丈夫。好きですよ、ずっと。」
「いや人間と違って80年そこらの話じゃないんだよ?何百年とかの話になってくるんだよ?」
「何百年とか想像できないですけど、なんか大丈夫な気がします。
どうやったら契約できますか?」
「契約はしないよ。」
「なんで?」
「こんなの俺にしかメリット無いから。」