学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした



「…俺と契約すれば、記憶を無くさずに吸血できる。」


「契約?」


「命を繋ぐ…的なことかな。片方が死んだらもう片方も死ぬ、片方が死ぬまで死ねない、そんな契約。

混血となら傷の治りが早くなるくらいでいいかもしれない。けど、純血の吸血鬼なんかと契約しちゃうと、秦野ちゃんも吸血鬼になるようなもんなんだ。

寿命は相当延びるし、傷もすぐに癒えて簡単には死ねない。血を吸わないといけないとか、太陽光がダメになったりとかはしないけど、普通の人間としては生きていけなくなる。

あと、契約すると契約者の血しか受け付けなくなるから、俺に一生吸血される。」


「それって先輩の寿命も削ることになったりしませんか?」


「え、今の話で気になるのそこ?
そりゃあ俺も純血の吸血鬼にしては大分早く死ぬだろうね。けど俺はそれでなんの問題も無い。吸血鬼嫌いだし、あいつらと生きたくないし。」


「じゃあ問題ないですね。契約しましょう。」


「いやいやいや、俺の話ちゃんと聞いてた?
秦野ちゃんからすると問題しかないでしょう。

今は俺が好きだから、俺が死ななくて、他の女から吸血しなくてよくなって、それでいいかもしれない。

でもそうじゃなくなったら?
ただ長い寿命を持て余して、好きでもない俺に血を吸われて、そうやって生きていくことになるんだよ?」


「大丈夫。好きですよ、ずっと。」


「いや人間と違って80年そこらの話じゃないんだよ?何百年とかの話になってくるんだよ?」


「何百年とか想像できないですけど、なんか大丈夫な気がします。

どうやったら契約できますか?」


「契約はしないよ。」


「なんで?」


「こんなの俺にしかメリット無いから。」


< 24 / 34 >

この作品をシェア

pagetop