淡雪の恋 心に弾けた思いを君へ
やがて体を洗い終わったあゆみが俺の隣に入ってきた。 「お母さんともこうしてるのよね?」
「ギク、、、。」 「いっつも何をしてたの?」
「話してるだけだよ。」 「お喋りなら風呂に入らなくても出来るわよねえ?」
そう言いながらあゆみは顔を近付けてくる。 あんまりにくっ付いた物だからその鼻を思い切り舐めてしまった。
「うわーーーーーー、こんなことしてるんだあ。 エッチーーーーーー。」 言うが早いかあゆみは風呂から飛び出していった。
小さい頃から俺とあゆみはいつもくっ付いていた。 風呂に入る時も遊ぶ時も。
じいちゃんは出張も多かったし母ちゃんも忙しそうだったから。 日曜日もそうだったよな。
友達を呼びたかったけどじいちゃんも母ちゃんも居なかったからさ、、、。 だからあゆみはいつも俺に抱っこされて寝てたんだ。
風呂を出たあゆみは母ちゃんと話をしている。 「え? 敏夫がそんなことをしたの?」
「そうなんだよ。 兄ちゃんねえ、私をお母さんだと思って虐めてくるの。」 「後でお説教しとくわね。」
(なんだいなんだい、俺が悪者にされてるぞ。) 脱衣所に行ったら母ちゃんが入ってきた。
俺が警戒しているとニヤッと笑った母ちゃんが聞いてきた。 「あゆみと私はどっちがいい?」
「えー?」 「どっちがいいの? 敏夫君。」
(そんなこと急に聞かれても困るよなあ。 あゆみだって言えば母ちゃんを捨てることになるし母ちゃんだって言えばあゆみの不審を認めたことになる。) 返事に困った俺は母ちゃんにキスをした。
「敏夫、、、。」 母ちゃんは予想もしなかったキスに困惑しているらしい。 「しーーーーー。」
「分かったわよ。」 頷いた母ちゃんは浴室のサッシを開けた。
次の日は月曜日。 高校は朝から大騒ぎ。
なんでも体育倉庫が壊されているらしい。 しかも誰がやったのか見当が付かない。
「生徒の皆さんは講堂に集まってください。」 教頭の呼び掛けで講堂に集まった俺たちは事情聴取を受けた。
生徒の中に犯人が居ないと分かると先生たちは警察を呼んで動き始めた。
「2時間目終了をもって今日は下校とします。 生徒の皆さんは速やかに下校してください。」 放送が繰り返された。
俺たちの担任は体育教師だから出勤早々から大変だったらしい。 体育の授業が有るからって見回っていたらこのざまだった。
「誰がやったんだろうなあ?」 「生徒の中に居ないとなると部外者だとは思うけど、、、。」
「部外者と言ってもそう簡単には入れないだろう。 昨日は休みで防犯ブザーもセットしてあったんだ。」 「それが鳴らなかったってことは、、、。」
先生たちの推理は続いているが犯人は浮かび上がってこない。 警察も捜査をしているが分からない。
終いには「自然に壊れたんじゃないか?」って言い出す人まで出てきた。 体育倉庫は確かに古いんだけどなあ。
教頭も校長も何とも言えない複雑な顔をしていた。 教育委員会には何て報告するんだろうなあ?
家に帰ってくると中はガランとしている。 あゆみもまだ学校だ。
何気に俺はあゆみの部屋を覗いてみた。 机の上に開いたノートが置いてある。
(何だこれ?) そこには何か書いてある。
『兄ちゃんさあ幼稚園の頃から変わってないよね。 あゆみはずっと好きだよ。
でも最近の兄ちゃんはお母さんばっかり喋ってるから大嫌いなの。 あゆみにももっとくっ付いてよ。
でもさあ昨日は嬉しかったよ。 お母さんには内緒にするね。』
「開いたままだったら読まれちまうだろうがよ。 馬鹿なんだから。」 苦笑しながら俺はノートを閉じた。
昼になると持って行ったはずの弁当を食べてまたあゆみの部屋へ。 ノートに伝言を残しておく。
『お前ともキスをするなんてなあ。 初めてだったよ。
でもさノートを開いたままだったら読まれちまうぞ。 気を付けろ。』
書きながら(俺も悪い兄貴だなあ。)って思った。
部屋でゴソゴソしていたらあゆみが帰ってきた。 「ねえねえ読んでくれた?」
「ああ、読んだよ。」 「そっか。 良かった。」
「でもさあ、お前開いたまんなじゃあ母ちゃんに読まれちまうぞ。」 「それはやばい。 隠さなきゃ、、、。」
「だろう?」 「ねえねえ兄ちゃん お母さんには絶対言わないでね。」
「お前のほうが危ないんだけどなあ。」 「あゆみも気を付けるからお願い。」
あゆみはそう言うとまるでお地蔵様にお願いするみたいな恰好をした。 「よしよし。 じゃあジュースでも買ってやるか。」
「ラッキー。 ありがとねえ。」 「調子のいいやつだなあ。」
俺はあゆみの頭をポンポンと叩いた。
二人で連れ添って歩くなんて滅多に無いことだ。 あゆみは嬉しそう。
「何 はしゃいでるんだ?」 「だって大好きな兄ちゃんと歩けるんだもん。」
「今までさんざんに突っ込んでおいてか?」 「今までは今まで。 今は今だからいいの。」
「訳分かりましぇーん。」 「分かんなくても大丈夫。 お兄ちゃんだから。」
「どういう意味だよ?」 「そういう意味よ。」
「ったくもう、、、。」 「怒った?」
「別に、、、。」 「そうなんだ。」
俺はジュースを2本買うと小さな公園にやってきた。
「ブランコにでも乗るか。」 「久しぶりだあ。」
何年振りかで二人並んでブランコに揺られてみる。 あゆみの長い髪が揺れている。
(知らない間にあゆみも女になっちまったなあ。 いつか彼氏とキスをするんだろうなあ。) 横顔を見ながら俺はそんなことを考えた。
となるとさあ母ちゃんが変わってたのか? じいちゃんとやっちまったんだもんなあ。
でもまあいいか。 今こうして俺たちは仲良くやってるんだから。
「兄ちゃんさあ、高校の話って誰に聞いたの?」 「担任が体育系だから調べてもらったんだよ。」
「そっか。 ありがと。 嬉しかった。」 「県外だぞ。 耐えられるか?」
「兄ちゃんみたいに弱虫じゃないから大丈夫だよ。」 「こら、、、。」
「ごめんごめん。 怒らないでよ。」 そう言いながらあゆみは俺の頬にキスをした。
「おませなんだからなあ。」 「兄ちゃんの妹ですから。」
「グ、、、。」 「勝ったあ。」
通りを車が走り抜けていく。 学校帰りの子供たちが走って行く。
雲がそっと流れていく。 「あゆみが居なくなったら寂しくなるな。」
「お母さんが居るから大丈夫よ。 お兄ちゃん。」 「この、、、。」
「ワ、怒った。」 「何だよ、、、。」
「大丈夫よ。 お母さんにいい子いい子してもらえばいいしょ?」 「そんなんじゃないっての。」
「「図星だあ。 兄ちゃん怒ってる。」 言うが早いかあゆみはブランコから下りて走り出した。
「おいおい、待て待て。」 「お母さんが帰ってくるからねえ。」
傾き始めた夕日の中を二人で追いかけっこ。 何年ぶりだろうなあ?
あゆみはドアを開けると二回へ駆けあがって行った。
母ちゃんと絡んだあの日、あゆみは遠征に出掛けていた。 今年は準優勝だったって言ってたな。
「去年は優勝したのにさあ、、、。」 「去年は去年。 今年は今年だよ。」
「そんなこと言っても悔しいわよ。」 「じゃあ来年もう一回やれば?」
「あのねえ、来年は高校生なんですけど、、、。」 「いいじゃん。 助っ人ですって言って出してもらえば。」
母ちゃんは俺たちの話を(またか)って顔で聞いている。 「お母さんからも言ってやってよ。」
「あゆみも元気ねえ。」 「そうじゃなくて、、、。」
「分かってるわよ。 敏夫だって本当は応援してるのよ。 分かってあげてね。」 「えーーーー?」
カレーを食べながら母ちゃんは俺とあゆみの顔を交互に見るんだった。
二人ともここまでよく頑張ったわね。 敏夫は陸上だし、あゆみはバスケだった。
私は高校にも行かなかったしスポーツもやらなかった。 中学の時は必死になって泳いでたけどね。
でも学校には水泳部なんて無かったから一人で泳いでた。 試合なんて物も無かったなあ。
だから敏夫が走ってるのを見たり、あゆみがボールを追い掛けてるのを見ると夢中になって応援してきた。
それももうすぐ終わるのかなあ? あゆみはこれからどうするんだろう?
「ギク、、、。」 「いっつも何をしてたの?」
「話してるだけだよ。」 「お喋りなら風呂に入らなくても出来るわよねえ?」
そう言いながらあゆみは顔を近付けてくる。 あんまりにくっ付いた物だからその鼻を思い切り舐めてしまった。
「うわーーーーーー、こんなことしてるんだあ。 エッチーーーーーー。」 言うが早いかあゆみは風呂から飛び出していった。
小さい頃から俺とあゆみはいつもくっ付いていた。 風呂に入る時も遊ぶ時も。
じいちゃんは出張も多かったし母ちゃんも忙しそうだったから。 日曜日もそうだったよな。
友達を呼びたかったけどじいちゃんも母ちゃんも居なかったからさ、、、。 だからあゆみはいつも俺に抱っこされて寝てたんだ。
風呂を出たあゆみは母ちゃんと話をしている。 「え? 敏夫がそんなことをしたの?」
「そうなんだよ。 兄ちゃんねえ、私をお母さんだと思って虐めてくるの。」 「後でお説教しとくわね。」
(なんだいなんだい、俺が悪者にされてるぞ。) 脱衣所に行ったら母ちゃんが入ってきた。
俺が警戒しているとニヤッと笑った母ちゃんが聞いてきた。 「あゆみと私はどっちがいい?」
「えー?」 「どっちがいいの? 敏夫君。」
(そんなこと急に聞かれても困るよなあ。 あゆみだって言えば母ちゃんを捨てることになるし母ちゃんだって言えばあゆみの不審を認めたことになる。) 返事に困った俺は母ちゃんにキスをした。
「敏夫、、、。」 母ちゃんは予想もしなかったキスに困惑しているらしい。 「しーーーーー。」
「分かったわよ。」 頷いた母ちゃんは浴室のサッシを開けた。
次の日は月曜日。 高校は朝から大騒ぎ。
なんでも体育倉庫が壊されているらしい。 しかも誰がやったのか見当が付かない。
「生徒の皆さんは講堂に集まってください。」 教頭の呼び掛けで講堂に集まった俺たちは事情聴取を受けた。
生徒の中に犯人が居ないと分かると先生たちは警察を呼んで動き始めた。
「2時間目終了をもって今日は下校とします。 生徒の皆さんは速やかに下校してください。」 放送が繰り返された。
俺たちの担任は体育教師だから出勤早々から大変だったらしい。 体育の授業が有るからって見回っていたらこのざまだった。
「誰がやったんだろうなあ?」 「生徒の中に居ないとなると部外者だとは思うけど、、、。」
「部外者と言ってもそう簡単には入れないだろう。 昨日は休みで防犯ブザーもセットしてあったんだ。」 「それが鳴らなかったってことは、、、。」
先生たちの推理は続いているが犯人は浮かび上がってこない。 警察も捜査をしているが分からない。
終いには「自然に壊れたんじゃないか?」って言い出す人まで出てきた。 体育倉庫は確かに古いんだけどなあ。
教頭も校長も何とも言えない複雑な顔をしていた。 教育委員会には何て報告するんだろうなあ?
家に帰ってくると中はガランとしている。 あゆみもまだ学校だ。
何気に俺はあゆみの部屋を覗いてみた。 机の上に開いたノートが置いてある。
(何だこれ?) そこには何か書いてある。
『兄ちゃんさあ幼稚園の頃から変わってないよね。 あゆみはずっと好きだよ。
でも最近の兄ちゃんはお母さんばっかり喋ってるから大嫌いなの。 あゆみにももっとくっ付いてよ。
でもさあ昨日は嬉しかったよ。 お母さんには内緒にするね。』
「開いたままだったら読まれちまうだろうがよ。 馬鹿なんだから。」 苦笑しながら俺はノートを閉じた。
昼になると持って行ったはずの弁当を食べてまたあゆみの部屋へ。 ノートに伝言を残しておく。
『お前ともキスをするなんてなあ。 初めてだったよ。
でもさノートを開いたままだったら読まれちまうぞ。 気を付けろ。』
書きながら(俺も悪い兄貴だなあ。)って思った。
部屋でゴソゴソしていたらあゆみが帰ってきた。 「ねえねえ読んでくれた?」
「ああ、読んだよ。」 「そっか。 良かった。」
「でもさあ、お前開いたまんなじゃあ母ちゃんに読まれちまうぞ。」 「それはやばい。 隠さなきゃ、、、。」
「だろう?」 「ねえねえ兄ちゃん お母さんには絶対言わないでね。」
「お前のほうが危ないんだけどなあ。」 「あゆみも気を付けるからお願い。」
あゆみはそう言うとまるでお地蔵様にお願いするみたいな恰好をした。 「よしよし。 じゃあジュースでも買ってやるか。」
「ラッキー。 ありがとねえ。」 「調子のいいやつだなあ。」
俺はあゆみの頭をポンポンと叩いた。
二人で連れ添って歩くなんて滅多に無いことだ。 あゆみは嬉しそう。
「何 はしゃいでるんだ?」 「だって大好きな兄ちゃんと歩けるんだもん。」
「今までさんざんに突っ込んでおいてか?」 「今までは今まで。 今は今だからいいの。」
「訳分かりましぇーん。」 「分かんなくても大丈夫。 お兄ちゃんだから。」
「どういう意味だよ?」 「そういう意味よ。」
「ったくもう、、、。」 「怒った?」
「別に、、、。」 「そうなんだ。」
俺はジュースを2本買うと小さな公園にやってきた。
「ブランコにでも乗るか。」 「久しぶりだあ。」
何年振りかで二人並んでブランコに揺られてみる。 あゆみの長い髪が揺れている。
(知らない間にあゆみも女になっちまったなあ。 いつか彼氏とキスをするんだろうなあ。) 横顔を見ながら俺はそんなことを考えた。
となるとさあ母ちゃんが変わってたのか? じいちゃんとやっちまったんだもんなあ。
でもまあいいか。 今こうして俺たちは仲良くやってるんだから。
「兄ちゃんさあ、高校の話って誰に聞いたの?」 「担任が体育系だから調べてもらったんだよ。」
「そっか。 ありがと。 嬉しかった。」 「県外だぞ。 耐えられるか?」
「兄ちゃんみたいに弱虫じゃないから大丈夫だよ。」 「こら、、、。」
「ごめんごめん。 怒らないでよ。」 そう言いながらあゆみは俺の頬にキスをした。
「おませなんだからなあ。」 「兄ちゃんの妹ですから。」
「グ、、、。」 「勝ったあ。」
通りを車が走り抜けていく。 学校帰りの子供たちが走って行く。
雲がそっと流れていく。 「あゆみが居なくなったら寂しくなるな。」
「お母さんが居るから大丈夫よ。 お兄ちゃん。」 「この、、、。」
「ワ、怒った。」 「何だよ、、、。」
「大丈夫よ。 お母さんにいい子いい子してもらえばいいしょ?」 「そんなんじゃないっての。」
「「図星だあ。 兄ちゃん怒ってる。」 言うが早いかあゆみはブランコから下りて走り出した。
「おいおい、待て待て。」 「お母さんが帰ってくるからねえ。」
傾き始めた夕日の中を二人で追いかけっこ。 何年ぶりだろうなあ?
あゆみはドアを開けると二回へ駆けあがって行った。
母ちゃんと絡んだあの日、あゆみは遠征に出掛けていた。 今年は準優勝だったって言ってたな。
「去年は優勝したのにさあ、、、。」 「去年は去年。 今年は今年だよ。」
「そんなこと言っても悔しいわよ。」 「じゃあ来年もう一回やれば?」
「あのねえ、来年は高校生なんですけど、、、。」 「いいじゃん。 助っ人ですって言って出してもらえば。」
母ちゃんは俺たちの話を(またか)って顔で聞いている。 「お母さんからも言ってやってよ。」
「あゆみも元気ねえ。」 「そうじゃなくて、、、。」
「分かってるわよ。 敏夫だって本当は応援してるのよ。 分かってあげてね。」 「えーーーー?」
カレーを食べながら母ちゃんは俺とあゆみの顔を交互に見るんだった。
二人ともここまでよく頑張ったわね。 敏夫は陸上だし、あゆみはバスケだった。
私は高校にも行かなかったしスポーツもやらなかった。 中学の時は必死になって泳いでたけどね。
でも学校には水泳部なんて無かったから一人で泳いでた。 試合なんて物も無かったなあ。
だから敏夫が走ってるのを見たり、あゆみがボールを追い掛けてるのを見ると夢中になって応援してきた。
それももうすぐ終わるのかなあ? あゆみはこれからどうするんだろう?