悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜

「殿下・・・」
「ここで、お前と初めて会った時から、お前を可愛いと思う気持ちは何一つ変わらない。」

 フェルディナンド王子は、近くの太いオークの木の裏にメリアンを引き寄せた。そして愛しそうに真っ赤な髪を撫でると、メリアンの背丈に合わせるように少し屈んで、キスをした。短い、けれど、愛情がストレートに伝わるような熱いキス。
 メリアンはフェルディナンド王子の胸に顔を埋めた。

「殿下、私もあの時からずっと、貴方様のことを愛しています。」

 二人はしばらくその場で抱き合い、互いの温もりを感じていた。やがて「あれ、おかあさんとおうじがいない。」と探すルカの声を聞くまで。

 フェルディナンド王子とメリアンはその可愛らしい声にお互いに笑い合った。そしてフェルディナンド王子はメリアンの手を引いて、子供たちのもとへ戻った。

 シュトルツ公爵はそんな二人を見て、ニコリと微笑み、二人の気持ちを確かめたようだった。

「おうじと、おかあさんだ!いた!」
「あー、おててつないで、なかよしだ。」
「なかよし、なかよし!」

 ルカとリリスも、喜びに満ちた顔で、フェルディナンド王子とメリアンに抱きついた。二人は子供たちを一緒に抱きしめ、幸せそうな笑顔で見つめ合った。
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