【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 グレンの整った顔が、ルイスに近づいてくる。
 キス、するつもりなのだろう。
 昨夜のことからの、番宣言。もやは許容量を超えているルイスは、恥ずかしさから、思わず両手を使ってグレンの唇をふさいだ。
 キスを拒まれる形になったグレンは、むっとする様子を見せたが、ならば、と下へ向かっていく。
 両手をあげたせいで、他の部位のガードが疎かになっていたのだ。
 毛布の中でもぞもぞと動くグレンに、ルイスが「グレン様?」と声をかけた、そのとき。

「ひゃっ……!?」

 唇がダメなら、その下へ。
 グレンが、ルイスのある部位を口に含んだ。
 情事の名残があるのか、それだけでルイスからは力が抜けてしまう。
 ルイスだって、彼のことは大好きだ。そのうえ、自分は彼の番だった。
 なら……一夜限りではなく、もう一度。それも、許されるのかもしれない。
 
「グレン、さま……」

 自分でも驚くほどに、とろけた女の声が出た。
 きっとグレンにも、ルイスが彼を受け入れるつもりなことが、伝わっただろう。
 少し下にあるグレンの頭に、ルイスはそっと触れる。
 昨日も少しだけ触ることのできた彼の耳が、指に当たった。
 そのまま、すり、すり、と彼のふわふわの耳を撫でる。
 自身も彼からの刺激を受けながら、ルイスは何年ぶりに味わうのかもわからない感触を堪能した。

 このまま、昨夜の続きを――。

 そう思い、彼に身を任せていたのだが。
 ふと、グレンが身体を起こしてルイスの上からどいた。
 今のルイスを見ないようにしているのか、顔も反対側に向けている。
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