【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
「……ねえ、ルイス義姉さん。僕たちからも、ちょっといい?」

 クラークの声に我に返ったルイスは、はっとしてグレンから離れる。

 抱き合う姿を見られてしまった……!

 と焦ったが、クラークとミリィが、そんなことは気にせず真剣な表情をしていたから。
 ルイスも、動揺を表に出すことなく、彼らに向き合った。
 
 ルイスがアルバーン邸に引っ越してきた日、四人で話した東屋へと向かう。
 相変わらずメルヘンチックな空間である。
 あとで知ったのだが、生垣の先にはお花畑と可愛らしい東屋が……というこの庭の作りは、ミリィが考えたものらしい。
 女性騎士志望の、クールビューティーな彼女。しかし本来の姿は、ちょっと取り乱したりすることもある、可愛いもの好きの女性のようだった。

 それぞれ席につき、使用人にお茶や菓子の準備をしてもらったら、下がらせる。
 使用人が離れたことを確認すると、クラークは、

「まあ、あの様子なら、もう大丈夫かもしれないけど」

 と前置きする。
 あの様子、というのが、先ほどグレンに縋り付きながら本音を吐き出し、抱き合ったあの場面のことであろうと理解したルイスは、恥ずかしさから頬を染めた。

「今回の騒動について、僕たちからもルイス義姉さんに話がしたかったんだ」
「お義姉さま。兄は、あなたが番であると嘘をつくような人ではないわ。それに、もしも嘘でもいいから結婚したいと思っているなら、もっと早くやるもの」
「そう。ルイス義姉さんだって、兄さんと同い年なんだからもう18歳でしょ?」

 クラークの言う通り、二人は同い年だから、ルイスも18歳だ。
 ルイスが頷いたことを確認すると、クラークは話を続けていく。
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