【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
「ルイス義姉さんも子爵家の娘だ。18ともなれば、いつ他の男と婚約したっておかしくなかった。既に婚約済みだって不思議じゃない」
「もしも兄が、嘘をついてでも初恋の人と結婚しようとする男だったら、もっと早く……15歳や16歳のときにそうしているはず。お義姉さまが、他の人と婚約してしまう前に」

 言われてみれば、たしかにそうだった。
 家の事情などで個人差はあるものの、この国の貴族は、10代後半のうちに婚約を結ぶことが多い。
 ルイスは、既に婚約適齢期。実際、グレンの番であると判明する前は、縁談なども持ち上がっていた。

 アルバーン家の獣人一家が眩しすぎるためか、ルイス本人はいまいちわかっていないのだが――ルイスは、男たちがぜひ自分の元へ、と望むような美人だ。
 ふわふわの柔らかそうな金髪は思わず触れたくなるし、優しい緑の瞳には、もっと見つめて欲しくなる。
 白く滑らかな肌に、小ぶりな唇。
 女性の中でもやや小柄だが、そこがまた、彼女の愛らしさを引き立てており。
 しかし、胸は服の上からでもわかるほどに豊満で。
 優しい性格の小動物のように愛らしいが胸は大きい、というアンバランスさが、男を狂わせる。

 そんなルイスを自分の妻に、と望む貴族の令息や、地元の有力者は多かった。
 それでもルイスが婚約していなかったのは、グレンへの想いが断ち切れていなかったからだ。
 彼が嗅覚を発現させ、自分が番ではないとわかったら。己の身の振り方は、そのあと考えようと思っていた。
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