緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 光の魔法の応用で物質に光を当てて走査し、対象物の情報を調べることが出来るらしい。

「それはもちろん構いませんが……こんな魔道具があるんですね。初めて見ました!」

「ヘルムフリートが作った魔道具なんだ。高度な技術を使っているから、まだ世には出ていないらしい」

「高度な技術……! すごいです……!」

 さすが魔術師団団長様だ。この若さで団長になったのだから、さぞや優秀なんだろうな、とは思っていたけれど、こんな魔道具が作れるなんてもう稀代の天才なのではないだろうか。

「そんなに褒められると照れるなぁ。……あ、結果が出たね。どれどれ?」

 ヘルムフリートさんが魔道具の上部に現れた文字を読んでいる。ジルさんも結果が気になるのか、魔道具を覗き込んでいるので、私も後ろから覗いてみたけれど、何が書かれているのかさっぱりわからなかった。

「……これは…………!」

「うーん、まさか……ねぇ……」

 解析結果を見た二人が黙り込んでしまった。一体どんな結果が出たのか気になるけれど、考えている人の邪魔はいけないと思い、説明してくれるのを待つことにする。
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