緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「アンのおかげで文献通り、本来のマイグレックヒェンに薬の効果を発揮する成分が含まれていると実証された。色も本当は紫ではなく白だったんだ」

「まさか変異したせいで薬が毒に変わっていたなんて思わなくてね。球根を買い占めたのは無駄だったのかと焦ったよ」

 ヘルムフリートさんはマイグレックヒェンを薬として使用したと書かれた文献を見付けたものの、実際のマイグレックヒェンに毒があったため、薬の開発に行き詰まっていたという。
 昔は今ほど瘴気が溢れていなかったから、人々は薬としてマイグレックヒェンを使用出来ていたのだろう。

「まさかマイグレックヒェンを買い占めていたのがヘルムフリートさんだったなんて……世間は狭いですね」

 私は商業ギルドで聞いた話を思い出していた。
 あの時は球根を買い占めていたのが不思議だったけれど、研究のためだったのだと納得する。

「そうそう、フロレンティーナと同じ病に苦しむ人達のために、もっと薬を量産したいんだ。それで相談なんだけど、その残った球根をアンさんに育てて貰いたいんだ。……どうかな? もちろん報酬はお支払いするよ」

「そんな、報酬だなんて……」

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